アダージョの資料を探しに出かけた八重洲ブックセンター本店で、「ヨーロッパ古版画」展示即売会が催されているのに思わず足を止めました。19世紀後半から20世紀初頭にかけてのおもに出版物として制作された銅版画やリトグラフが壁一面に並ぶなか、眼を釘付けにさせられたのはリチャード・ドイルの『妖精の国で』(1875年再版)からの木版画シリーズです。あのコナン・ドイルの伯父にあたるという画家が描く妖精たちはもういきいきとはしゃぎまわって、いつまで眺めても飽きず、口元がほころんでしまうのをどうしようもありません。ついに1枚を衝動買いして帰宅するなり壁に架けて感興を新たにしたあげく、翌日もふたたび出向いてさらにもう1枚買い求めてしまいました……(笑)。すっかりわが家が『夏の夜の夢』の森になったような雰囲気のなかで啜るワインの味も格別です。
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