クラシック音楽のいちばんの魅力は、同じ原理で書かれた曲が時代や国境を超えてほとんど無尽蔵に蓄積されてきたことではないでしょうか。そんな果てしない沃野を彷徨して、ときに未知の曲に心を奪われる体験は何よりのプレゼントです。最近出会ったのは、ハイドンのピアノ三重奏曲。ピアノとヴァイオリン(またはフルート)とチェロという、至ってシンプルな編成が紡ぎだす音楽のきらめきといったら! それはモーツァルトの賢しさやベートーヴェンの厳しさとは無縁の、ただ音楽が音楽として立ち現れてくるのびやかな喜びにあふれています。こうした曲がことさら琴線に触れるのも年齢のなせるところでしょうか、いくら聴いても飽きることがありません。なにしろ、それぞれに輝きを放ちながら40以上もの曲数を数えるのですから……。わたしが愛聴しているのはボザール・トリオの9枚組CDです、ご参考までに。
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