フルート吹きの友人が所属するアマチュア・オケの演奏会に行ってきました(飯守泰次郎指揮/新交響楽団)。ウェーバーの「オベロン」序曲に続き、メイン・プログラムはシューベルトの第7(8)番とブルックナーの第9番というふたつの「未完成」交響曲です。この組み合わせは、かつてギュンター・ヴァント指揮/北ドイツ放送交響楽団の来日公演でも接して胸を震わせた記憶がありますが、おそらく未完の芸術作品としては最も偉大なものではないでしょうか。そこにあるべき結末が欠け、ただ受け取る側のイマジネーションに委ねられることによって、いっそう限りのない結末のカタルシスが訪れる体験は、今回の演奏からも十分味わえました。ときあたかも話題の『1Q84』第3巻を読み終えようとしていただけに、その闊達な筆の運びを楽しみつつも、あるいはこの小説も第2巻で「未完成」のままだったほうが大きな世界を現していたかもしれないなどと考えながら……。